雲の中の散歩のように

Cinema letteratura musica どこまで遠くにゆけるのだろう

イタリア語

『Tempo massimo』(1934)短評:デ・シーカ&ミリー、そしてマニャーニ

イタリア版DVD。イタリア語字幕付き。24-39。マニャーニ祭り。これは面白かった。マニャーニの2作目。デビュー作『La cieca di Sorrento(ソレントの盲女)』と同じ時期だけど、マニャーニらしさが出ているのはこちら。 タイトルの「Tempo massimo」はス…

『La cieca di Sorrento(ソレントの盲女)』(1934)短評

マニャーニ祭り。イタリア版DVDの到着を待ちながら、デビュー作ということで辛抱たまらず、このサイトにて視聴。24-38。Filmaks のリストになし。1)原作者 F.マストリアーニ 1934年の作品でタイトルは「ソレントの盲女」。原作はフランチェスコ・マスト…

蘇ったフィルムたち:映画か、それとも動画か、はやり映画なのか!

昨日はイタリア文化会館の「蘇ったフィルムたち チネマ・リトロバート映画祭:特別上映・レセプション」に参加してきました。この映画祭は知る人ぞ知る映画祭で、ぼくも名前だけは聞いていたのですが、今回はめでたくも京橋の日本の国立映画アーカイブでその…

『夏の嵐』(1954):堕ちてゆく者のメロドラマ(2)

もうひとつの『妄執』 ヴィスコンティといえば「デカダンス」や「敗者の美学」が解読のカギとなる。ぼくもこれまでずっとその線で考えてきた。その意味で、映画研究者マウロ・ジョーリ(Mauro Giori)の分析は興味深い。『夏の嵐』は「もうひとつの『妄執(…

『夏の嵐』(1954):堕ちてゆく者のメロドラマ(1)

師走の23日、新宿のカルチャーでヴィスコンティ『夏の嵐』を話す。直前までどんな話になるかわからないのはいつものとおり。むかし授業でシナリオも読んだ。内容はだいたいわかっている。けれども調べれば新しい発見がある。そうだったのかと思うことが次か…

シルヴァーナ・マンガノの微笑み(2)

さてさて、午後にちょっとお芝居をみて、買い物をして、煮込みうどんを食べて、風呂にも入った。「マンガノの微笑み」の続きを書いておく。書かないと多分ほうったらかしになりそうだし。 1950年代のマンガノは、夫のデ・ラウレンティイスの後押しもあって、…

シルヴァーナ・マンガノの微笑み(1)

昨日は横浜でシルヴァーナ・マンガノのことを話してきた。今年の春から懐かしのイタリア映画と銘打ってロッロブリージダ、カルディナーレと続けてきたけれど、年末はマンガノ。 日本では「マンガーノ」と表記されてきた。アクセントの音節が後ろから2番目な…

ルイージ・マンニ『Scipione detto anche l'Africano』(1971)短評。

YT。字幕なし。23-177。マンガノ祭り。イタリアのアマプラにはタイトルがあるのだが、残念ながら見られない。少しばかり歴史の知識が必要かも。1971年という時代背景。戦後15年になる共和国イタリアにおいてもはや英雄は必要ない。それでも英雄になりたがる…

カメリーニ『Crimen』(1960)短評

イタリア版DVD。字幕なし。23-176。マンガノ祭り。Filmarks にタイトルがなかったのでこちらに短評。これは楽しかった。ガズマン、ソルディ、マンフレーディのそれぞれに、ドリアン・グレイ、マンガノ、フランカ・ヴァレーリが寄り添うダブルトリオ。死体…

『Roma città libera』(1946)短評

YT. 23-146。 日本語にすれば『自由都市ローマ』。1946年のマルチェッロ・パッリェーロの監督作品。パッリェーロといえば、ロッセリーニの『無防備都市ローマ』でドン・ピエトロ神父(アルド・ファブリーツィ)とともに逮捕されるレジスタンスのマンフレーデ…

映画の生まれるところ:短編映画上映会SIC@SIC2022@イタリア文化会館

昨日の金曜の夜、九段のイタリア文化会館に行く。「短編映画上映会、SIC@SIC2022」の上映前に解説を頼まれていた。雨だったけど、文化会館のホールにはけっこうな方がいらしゃっていた。ありがたいことだ。 ホールに入る前に館長のデ・マイオさんとおしゃべ…

クラウディア・カルデイナーレ、映画と人生

横浜でクラウディア・カルディナーレのことを話してきました。「懐かしの俳優たち」と銘打っての2回目です。きっかけは今年の初めにジーナ・ロッロブジジダの訃報に触れたこと。新聞にも追悼記事が出たのですが、日本のものは何かが足りない。調べてみれば…

エットレ・スコラ『Permette? Rocco Papaleo』(1971)短評

某所N座にてイタリア版DVD鑑賞。冒頭のトラベリング。ふたりの労働者風の男の歩く姿をカメラが追う。こんな感じの長回しのトラヴェリングって、最近ではキュアロンの『ROMA/ローマ』(2018)で見た。でもこれは1971年の映画だから、ちょっと新しい気がする。…

『愛を語っておくれ、マリュー』を訳してみた

先日あるパーティで、友人がこの歌を歌ってくれた。そのときの流れで、歌う前にこの歌詞を即興で訳すことになったのだけど、あらためて読み返してみると、じつにいい歌だ。 作詞はエンニオ・ネーリ(1891–1985)。作曲はチェーザレ・アンドレア・ビクシオ(1…

ジーナ・ロッロブリージダ:パンと恋と夢を生きたアーティスト

今年のはじめ、ロッロブリージダの訃報が届く。去年の暮れに『殺しを呼ぶ卵』(1967)の「最長版」を見たばかり。そのときは、まだ生きているのかとおぼろげに思っていた。訃報が届いたとき、イタリアの記事に目を通した。上にあげたのは、ローマで今月9日か…

ベロッキオ『夜のロケーション』短評

イタリア版のBDで鑑賞。23-55。字幕はなし。特典は短いバックステージ3本。 イタリア映画祭では「夜のロケーション」という邦題。わるくない。ただ原題の「Esterno notte」はシナリオの用語で「屋外、夜」の意。ここで意識される「夜」は、アルド・モーロの…

金とアノレクシア:ガッローネ『Primo amore』(2004)をめぐって

イタリア版DVDにて鑑賞。Filmaks に作品がなく、こちらにメモ。23-34。 ようやくキャッチアップ。見るのを少し躊躇していたのだ。原作は、痩せた女性が好きで、恋人に痩せることを求め、自分が見守るなかで痩せてゆく恋人に恋する男の自伝小説。でもガッ…

ミーナとレ・ティグリ、『熊座の淡き星影』より

『熊座の淡き星影』だけど、メイン音楽はセザール・フランクの『前奏曲、コラールとフーガ』。これが執拗に演奏される。最初はこのシーン。 youtu.be 次に印象的なのは、イタリアのポップス。最初にかかるのが Le Tigri の『if you don’t want』。ビートルズ…

『熊座の淡き星影』、あるいはヴィスコンティの《ジャッロ》

土曜日、新宿の朝カルで『熊座の淡き星影』のことを話した。この映画はヴィスコンティのなかでも、とりわけぼくのお気に入りだ。なにしろ奥が深い。ハッとさせることがいくつもある。今回も発見があった。備忘のため、それについて記しておく。 1. 形容詞 va…

クエスティ『Arcana』(1972)短評

備忘のため、以下に『Arcana』についてツイートしたものをまとめておく。 * * * ジュリオ・クエスティ(Giulio Questi, 1924 – 2014)の最後の長編映画。ひさしぶりに映画を見ながら興奮した。個人的には近年見た作品のトップクラス。ルチア・ボゼーとテ…

DVD『by Giulio Questi』短評

昨晩観た『by GIULIO QUESTI』。思っていた以上におもしろい。YouTube で観た『Arcana』に感動していたのだけれど、この2枚組DVDには、今のぼくに響くものがある。 クエスティは「ある種の映画はその年齢にならないと撮れない」と言っていたけれど、この…

『舞いあがれ』と、その「リドンダンツァ」をめぐって

ひさしぶりに朝ドラのことを書く。FBには上げていたんだけど、今回の『舞いあがれ!』はなかなか素敵だ。開始からぼちぼちメモをとっていたんだけど、気がつけばもう第6週で、その名も「スワン号の奇跡」。 いや奇跡なんて起きないのですよ。でも奇跡だなと…

ブラゼッティ『Peccato che sia una canaglia』短評

1954年の作品。日本語にすれば「悪い女で残念だ」ぐらいの意味だろうか。2001年のイタリア映画大回顧祭では『女泥棒とは残念』のタイトルで公開されているけれど、日本語のソフトが出ていないなんて残念。 監督のアレッサンドロ・ブラゼッティ(1900…

朝カル横浜「ナンニ・モレッティの世界」... 話してきました!

朝日カルチャーセンター横浜では、このところ「イタリア映画の今」と題してお話しさせていただいています。今回(朝カル横浜 2022/10/22)は「ナンニ・モレッティの世界」。幸いにも無事終了。おいでになっていただいた方、ありがとうございます。 ちょうど…

ブラゼッティ『Un'avventura di Salvatore Rosa』(1939)短評

RHV のDVDは、タイトルもだけれど内容も充実していて満足度が高い。また、IBS はぼくがよく利用するサイトだけど、ここも仕事が早くてうれしい。 Un' avventura di Salvator Rosa - DVD - Film di Alessandro Blasetti Avventura | IBS このタイトルについて…

ブラゼッティ『Nessuno torna indietro』(1943-45)短評

ブラゼッティ祭り。 ほとんど誰も見ていない幻の映画。RHVが発掘しDVDとして届けてくれた。これは感謝しかない。なにしろ泣けた。いやほんと。よくできている。あの時代に、こんな女性の自由と自立を歌いあげる物語を撮っていたなんて。 ラブストーリーだ…

トレッカーニの新機軸:ネコは雌から「ガッタ、ガット」、医者も女性から「メディカ、メディコ」...

www.ilpost.it トレッカーニのイタリア語辞典が新機軸を打ち出すそうです。これによると男性形の名詞や形容詞には、その女性形が併記されます。併記はアルファベット順で、例えば「友人」なら「amica, amico」、指揮者なら「direttore, direttrice」のように…

ブラゼッティ『Contessa di Parma 』短評

イタリア版DVD(RHV)。1937年4月公開。日本未公開。「Contessa di Parma」の意味は「パルマ公爵夫人」。 舞台はトリノ。イタリアが国際連盟から脱退し、経済制裁を課せられているころの話。そんな時代のファッション業界で、「パルマ侯爵夫人」と呼ばれる…

ブラゼッティ『La tavola dei poveri (貧者の食卓)』(1932)短評

#ブラゼッティ祭り イタリア版DVD(RHV)。イタリア語ブックレット(22頁)付き。イタリア語字幕あり。RHVのシリーズは良心的。古典をしっかり伝えようとしている。 さて、アレッサンドロ・ブラゼッティ(1900 -1987)の『貧者の食卓』は、『Terra madre…

デ・アンドレの『サンド・クリーク川』を訳してみた

ずっと気になっているファブリーツィオ・デアンドレ。なぜだか今朝、彼のこの曲が流れてきた。彼が歌っていたのではなく、別の誰かが歌っていた。気になって調べれば、デアンドレの『Fiume Sand Creek』だと知る。 「3度目を閉じたのにまだここにいる、おじ…