雲の中の散歩のように

Cinema letteratura musica どこまで遠くにゆけるのだろう

2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

『夏の嵐』(1954):堕ちてゆく者のメロドラマ(2)

もうひとつの『妄執』 ヴィスコンティといえば「デカダンス」や「敗者の美学」が解読のカギとなる。ぼくもこれまでずっとその線で考えてきた。その意味で、映画研究者マウロ・ジョーリ(Mauro Giori)の分析は興味深い。『夏の嵐』は「もうひとつの『妄執(…

『夏の嵐』(1954):堕ちてゆく者のメロドラマ(1)

師走の23日、新宿のカルチャーでヴィスコンティ『夏の嵐』を話す。直前までどんな話になるかわからないのはいつものとおり。むかし授業でシナリオも読んだ。内容はだいたいわかっている。けれども調べれば新しい発見がある。そうだったのかと思うことが次か…

シルヴァーナ・マンガノの微笑み(2)

さてさて、午後にちょっとお芝居をみて、買い物をして、煮込みうどんを食べて、風呂にも入った。「マンガノの微笑み」の続きを書いておく。書かないと多分ほうったらかしになりそうだし。 1950年代のマンガノは、夫のデ・ラウレンティイスの後押しもあって、…

シルヴァーナ・マンガノの微笑み(1)

昨日は横浜でシルヴァーナ・マンガノのことを話してきた。今年の春から懐かしのイタリア映画と銘打ってロッロブリージダ、カルディナーレと続けてきたけれど、年末はマンガノ。 日本では「マンガーノ」と表記されてきた。アクセントの音節が後ろから2番目な…

ルイージ・マンニ『Scipione detto anche l'Africano』(1971)短評。

YT。字幕なし。23-177。マンガノ祭り。イタリアのアマプラにはタイトルがあるのだが、残念ながら見られない。少しばかり歴史の知識が必要かも。1971年という時代背景。戦後15年になる共和国イタリアにおいてもはや英雄は必要ない。それでも英雄になりたがる…

カメリーニ『Crimen』(1960)短評

イタリア版DVD。字幕なし。23-176。マンガノ祭り。Filmarks にタイトルがなかったのでこちらに短評。これは楽しかった。ガズマン、ソルディ、マンフレーディのそれぞれに、ドリアン・グレイ、マンガノ、フランカ・ヴァレーリが寄り添うダブルトリオ。死体…

ブラゼッティ『Io, io, io... e gli altri』(1966)短評

2021年の夏、イタリア版DVDを見てFBに短評を書いたのだけど、そのままになっていた。ちょうど今「マンガノ祭り」の最中なので、こちらに転載。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 1966年の作品、日本語にするのは難しいけど「自分、自分、自…