『熊座の淡き星影』だけど、メイン音楽はセザール・フランクの『前奏曲、コラールとフーガ』。これが執拗に演奏される。最初はこのシーン。
次に印象的なのは、イタリアのポップス。最初にかかるのが Le Tigri の『if you don’t want』。ビートルズの向こうを張るイタリアン・ロック(ビート)。ゴリツィアのバンドでローマで人気が出てきた頃、ヴィスコンティが聞きつけて自分の映画で使いたいと申し出たそうだ。
レ・ティグリ、サントラも出てる。
ひとつはミーナの『Se domani』。これは映画のシーンとぴたりとハマる。
ミーナが歌う姿はこれ。
こんな歌詞:
E se domani
io non potessi
rivedere te,
mettiamo il caso
che ti sentissi stanco di me
quello che basta all'altra gente
non mi darà nemmeno
l'ombra della perduta felicità.E se domani
e sottolineo "se"
all'improvviso perdessi te
avrei perduto il mondo intero
non solo te
日本語はこんな感じ。
明日もしも
わたしがあなたに
また会えなかったら
たとえばわたしが
飽きられてしまうとして
ほかの人には十分な言葉はもちろん
ましてや消えてゆく幸せの
気配さえもあなたは
見せてはくれないはずよ
明日もし
もしの話だけれど
突然あなたを失くしたら
きっとあなただけじゃなくて
この世の全てを失うのよ
それからサンドラとアンドリューは庭に出る。そこで再び Le tigri がかかる。曲は『Let's go』。
『白夜』もそうだけど、ヴィスコンティが曲を選ぶときに偶然はない。そこには意図がある。ミーナの歌も、そしてレ・ティグリ(Le tigri)の2曲にも、意味があり、ロックをかけるときはたいてい、不吉なものを呼び寄せることになる。実際、レ・ティグリの2曲目は、アガメムノンの墓前にてエレクトラとオレステスの出会いさながらのシーンの前触れなのだ。