雲の中の散歩のように

Cinema letteratura musica どこまで遠くにゆけるのだろう

クライ・ミー・ア・リヴァー、訳してみた

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この曲を初めて聴いたのはエアロスミスのヴァージョンだった。「クライ・ミー・ア・リヴァー」というフレーズが耳に残る。いい歌だと思っていた。

それが今日、偶然に上の動画を見た。『女はそれを我慢できない』(1956)のなか、この曲最が流れるシーン。亡霊にように現れるのはジュリー・ロンドン1955年にロンドンが歌って大ヒットした曲が、映画の中で引用されているのだ。

ロンドンが幽霊のように歌うこのシーンを見ていると、突然に歌詞の意味が体に染み込んできた。「クライ・ミー・ア・リヴァー Cry me a river 」とは命令法「あなた泣きなさい 〔You〕Cry 」が間接目的「ミー me 」を従えている形。そうかこの女性は、どうしようもない男にむかって「わたしに泣いて見せてごらん」と歌っているわけか。

「a river 」は文字通り「川」だけど「涙が川になるくらいに」という程度の意味だろう。わからなかったのは「plebeian」という単語。なんだろうと思って調べてみれば、ラテン語の「plebs」(平民)からきて「低俗な、下賎な」の意味らしい。つまりこの男、愛なんてものは下々のもの、つまり「平民」階級の連中がやる下らないものだと言っていたわけ。その男が今愛が失われたことを嘆いて泣いている。どうせなら、涙が川になるくらい泣いて見せてごらんなさいよ。そう歌っているわけだ。

いや、いい歌だわ。グッと来る。とくに今の時代、グッと来て、だれかに「Cry me a river 」と歌ってやりたくなった人がけっこういるのではないだろうか。

 

以下、拙訳です。ご笑覧。

今になって寂しいなんて
一晩泣き明かしたのね
いいわ、泣いて見せて、川のように
川のように泣いて見せてよ
あなたを思って川のように泣いた私に

今になってごめんなさいなんて
誠実じゃなかったですって
そうね、じゃ泣いて見せて、川のように
川のように泣いて見せてよ
あなたを思って川のように泣いた私に

あなたのことでわたし 正気をほとんど失うところだった
なのに涙のひとつも見せてくれなかった
覚えてるかしら わたしは覚えてるわ、あなたに言われたこと全部
愛なんて下賎のものだと言ったわよね
わたしとはもう終わったと言ったわよね 

それを
今になって愛してるだなんて
それじゃ証明してみせてよ
こらここで、泣いて見せて 川のように
川のように泣いて見せてよ
あなたを思って川のように泣いた私に

 

Now you say you're lonely
You cry the whole night thorough
Well, you can cry me a river, cry me a river
I cried a river over you

Now you say you're sorry
For bein' so untrue
Well, you can cry me a river, cry me a river
I cried a river over you

You drove me, nearly drove me out of my head
While you never shed a tear
Remember, I remember all that you said
Told me love was too plebeian
Told me you were through with me and

Now you say you love me
Well, just to prove you do
Come on and cry me a river, cry me a river
I cried a river over you