雲の中の散歩のように

Cinema letteratura musica どこまで遠くにゆけるのだろう

ダリダの『バン、バン!』(1966)訳してみた

youtu.be

 

きっかけはカナダのグザヴィエ・ドランの『胸騒ぎの恋人』(2010)を見たから。

filmarks.com

このなかで使われているイタリア語版の『バン、バン!』が実に見事に使われていたので、どうせなら歌詞を訳してみようと思ったしだい。

歌詞のプロットは英語とほぼ同じなんだけど、イタリア語にするとなんとなく雰囲気が違うような気がするんだよね。そのあたりは、みなさんでご判断ください。

ではどうぞ。

 

おぼえてるわ
こどもだったわたしたち
ピストル片手に
おもちゃの馬にまたがり

バンバン、わたしが撃てば
バンバン、あなたが撃ち返す
バンバン、勝つのはいつも
バンバン、ハートを撃った方

 

それから何年かたって
わたしたちは恋に落ちた
草原を駆け抜けながら
あなたと戯れたわよね

 

バンバン、冗談だと言って
バンバン、わたしを撃ったのよ
バンバン、勝つのはいつも
バンバン、ハートを撃った方

 

でも冗談じゃなかった
ほんとにハートを撃ったから
あなたが狙いを外すことはない
そうじゃないとは言わせない

 

今はもう愛してくれない
ハートが撃たれる音がした
あなたの言葉を聞いたとき
きみとは一緒にいたくないって

 

バンバン、わたしはここで
バンバン、泣くしかないのね
バンバン、あなたの勝ち
バンバン、わたしハートを失くしたの
 

いまでもわたし
近くで遊ぶこどもたちが
遊びで撃ち合いを始めると
ハートが苦しくなってしまう

 

バンバン、あなたが見える
バンバン、わたしを撃つの
バンバン、その銃声をわたし
バンバン、ずっと忘れることはない

 

イタリア語の歌詞はこれね。

Mi ricordo quando noi
Eravamo due bambini
E puntavamo le pistole
Dai cavalli a dondolo

 

Bang bang,  io sparo a te
Bang bang, tu spari a me
Bang bang, e vincerà
Bang bang, chi al cuore colpirà

 

Son passati gli anni e poi
Noi ci siamo innamorati
Correvamo per i prati
Tu scherzavi insieme a me

 

Bang bang, per ridere
Bang bang,  sparavi a me
Bang bang, e vincerà
Bang bang, chi al cuore colpirà

 

Certo non scherzavi tu
Quando mi sparavi al cuor
Nel mirar non sbagliavi mai
Prova a negare se tu puoi

 

Ora non mi ami più
Ed ho sentito un colpo al cuore
Quando mi hai detto che

Non vuoi stare più con me

 

Bang bang, e  resto qui
Bang bang, a  piangere
Bang bang, hai vinto tu
Bang bang, il cuore non l'ho più

 

Quando vedo intorno a me
Che i bambini giocano
E poi fingon di sparare
Come mi si stringe Il cuor

 

Bang bang, rivedo te
Bang bang, che spari a me
Bang bang, quel suono sai
Bang bang, non lo scorderò mai

シェールのオリジナルはこれ。

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このシェール、どことなくイタリアの女優、ステファーニャ・サンドレッリに似てる気がするなぁ。ビデオクリップの内容は、ベッドシーンなんてなんともベタだけど、全体的にはアメリカンニューシネマっぽくて好感。

同じ曲なのだけど、『キル・ビル』でタラちゃんが使ったのはこちらのヴァージョン。ギターのサウンドと、金髪にミニのナンシー・シナトラがなんともタラちゃん好み。

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かっこいいのは、ヴォーカルとギターだけというミニマリズム。この演奏はわからないけど、スタジオ録音のほうのトレモロを聞かせた演奏はビリー・ストレンジによるものだそうだ。ギターはギブソン 335 だったという。

*1

 

そんな話を聞くと、ギブソン335、なんだかぼくも欲しくなってきてしまったな。ところで、同じビリー・ストレンジがアコースティクでナンシーの歌声に合わせたのがこの映像。こちらもなかなか味があります。

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英語の歌詞はこれ。

Bang Bang (My Baby Shot Me Down)
byNancy Sinatra

I was five, and he was six
We rode on horses made of sticks
He wore black and I wore white
He would always win the fight

 

Bang bang, he shot me down
Bang bang, I hit the ground
Bang bang, that awful sound
Bang bang, my baby shot me down

 

Seasons came and changed the time
When I grew up I called him mine
He would always laugh and say
"Remember when we used to play?"

 

Bang bang, I shot you down
Bang bang, you hit the ground
Bang bang, that awful sound
Bang bang, I used to shoot you down"

 

Music played, and people sang
Just for me the church bells rang


Now he's gone, I don't know why
And till this day sometimes I cry
He didn't even say "Goodbye"
He didn't take the time to lie

 

Bang bang, he shot me down
Bang bang, I hit the ground
Bang bang, that awful sound
Bang bang, my baby shot me down

 

「音楽が奏でられて 人々が歌ってくれたのに/教会の鐘を聞いたのは私だけ」というところは、まさに『キル・ビル』の世界のスタート地点。歌詞では、おそらく結婚式を行うはずの教会で、彼氏がどこかに消えて、彼女だけが取り残されたというシーンに読める。その彼は「グッバイさえ言わなかった/嘘をつく時間さえかけなかった」のだという。せめて嘘をついてくればよいのにという気持ち。その気持ちがわからないことの残酷ということなのだろう。

キル・ビル』の教会ではそんな歌詞の情景が誇張され、彼女をユナ・サマーが、彼をデヴィッド・キャラダインが演じてくれたっけ。ドンピシャだったよな。

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