米国の詩人 Robert Frost の有名な詩だそうだが、ぼくは今日、例によってFacebookで初めて教えてもらった。読んでいると、なんどかとても、今の自分、そして今の時代と響き合うところがあるではないか。
そう、昨日の選挙のことを考えているのだ。秋が終わって冬が寒気を運んできて、地方によっては大雪のなかで行われた投票だったが、結果はご存知の通り。この国は昨日、ちょうどこの詩に歌われているように「分かれ道」に立っていたのだけど、ぼくらが選んだ道は、ともかくひとつの道になったわけだ。
そんなぼくらの状況と見事に呼応するようなこの詩、なかなか含蓄がある。意味を取り違えているところもあるかもしれないけれど、ともかく自分のために日本語においてみることにした。ぼくは、アメリカ文学なんてほとんど知らないし、こういう有名な作品にはきっと定訳もあるのだろうけれど、残念ながらそれは調べがつかなかったので、参照していない。ネットで散見されたいくつかの日本語訳には目をとおしてみた。けれど、どうも、ぼくにはしっくりこない。そういうときはやはり自分の言葉にしておいたほうがよい。それに詩の翻訳なんて、いくつもの種類があってもかまわないし、むしろそのほうがよいと思うのだ。
というわけで、ぼくの試訳を以下にあげてみる。まずはアラン・ベイツによるすてきな朗読を YouTube より。それから Robert Frost の詩をスタンツアごとに区切り、まず原文、それからぼくの試訳を続けた。
ではご笑覧。
Two roads diverged in a yellow wood,And sorry I could not travel bothAnd be one traveler, long I stoodAnd looked down one as far as I couldTo where it bent in the undergrowth;黄色い森に出ると 道が二つに分かれていた残念なことに わたしは両方を旅するわけにはゆかない一人しかいないわたしは 長いあいだ立ち止まりひとつの道のできるだけ遠くを眺めやると先のほうで道が藪へと入り込んでゆくのが見えたThen took the other, as just as fair,And having perhaps the better claim,Because it was grassy and wanted wear;Though as for that the passing thereHad worn them really about the same,それからわたしが 同じように魅力的な もう一方の道を選んだのはそちらのほうに求められている気がしたからで道を覆う草が 踏み歩くのにちょうどよかったからなのだとはいえ歩いて行けばどうせもうひとつの道と同じように踏み分けられてしまうのだけどAnd both that morning equally layIn leaves no step had trodden black.Oh, I kept the first for another day!Yet knowing how way leads on to way,I doubted if I should ever come back.あの日の朝 ふたつの道はどちらも等しくそこにあった草のあいだに誰かの黒い足跡が残っているわけでもなかったああ わたしは最初の道を また別の日に通ることにしたのだこれから どれほどの道をゆくことになるか わかっていたからまた戻って来られるかどうか疑わしかったのにI shall be telling this with a sighSomewhere ages and ages hence:Two roads diverged in a wood, and I-I took the one less traveled by,And that has made all the difference.わたしが ため息をつきながら こんな話をするのはずっとずっと先の どこか知らない場所でのことになるだろう「あのとき 森のなかで分かれ道に出たわたしは人の通っていないほうを選んだけれどそうでなければ すっかり違っていたはずさ」とね