雲の中の散歩のように

Cinema letteratura musica どこまで遠くにゆけるのだろう

『Italiani, brava gente』(1964) 短評


YT. 24-71。備忘のため。

 デ・シーカの『ひまわり』(1970)に先立つロシア戦線でのイタリア兵たちを描く作品。IMDbには1965年公開で「白い長い線(?)」という邦題があるのだけれど確認できず。またGoogle にイタリア語タイトルを入れると「イタリアの勇士たちよ」と出てくるがこれも確認できず。

 ぼくが見たのはYT。イタリア語版。監督はジュゼッペ・デ・サンティス。ウクライナのひまわりの平原をゆく軍用列車から始まり、陽気で士気の高いイタリア兵たちが次第に消耗してゆく様子を描き出す。ロシア戦線での悲惨な退却戦、最後のひとりが雪の中に倒れるまでを描くデ・サンティスの職人技。まるでぼくたちも、兵士たちとともに、ロシアの戦線の奥地へと進み、現地の人々と交流し、悲惨な戦いを経て、雪のなかに投げ出されたかのようになる。もちろん安全な場所にいるのだけれど。

 印象的だったのは、ピーター・フォークの演じる医務官中尉マーリオとコサックのエピソード。瀕死のコサック兵を助けてくれと自らが人質となったロシアのパルチザン。夜明けまでにマーリオが戻らなければ、絞首刑になるといいながら、イタリア人たちの飲んだくれて意気投合。一方マーリオ/フォークの手術は成功。急いで舞台に合流しようとするのだがそこにドイツ軍が現れて、コサック・パルチザンの一行は命を落としてしまう。夜明け。身代わりとなった陽気なパルチザンの男が処刑台に立つ。

 原題の「Italiani, brava gente」は「イタリア人、良い人たち」の意で、映画のなかでも口にされるセリフ。ドイツ兵に比べると「良い人たち」というのだが、そのロシアの人々にとって侵略者であることは変わりがない。その意味では逆説的で皮肉なタイトル。

 そうはいっても、注意すべきは、この「よきイタリア人」(brava gente)という表現には、「善良で人情があり根源的にはファシズム に汚されていないイタリア人」というイメージがあること。そしてそれは、自分たちは残虐なドイツ人とは違う、ファシズムと決別、レジスタンス闘争を経て独立を勝ち取り、王政を廃して共和性を選び取ったという自負と結びつく。

 YouTube で全編視聴可能。ただしイタリア語版・字幕なし。

 

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