雲の中の散歩のように

Cinema letteratura musica どこまで遠くにゆけるのだろう

2013-01-01から1年間の記事一覧

Pensiero stupendo

新しくできたイタリアポップスの専門誌に映画のコラムを書きました。 フェルザン・オズペテクの『明日のパスタはアルデンテ』を取りあげ、そのなかで歌われるパティ・プラーヴォの Pensiero stupendo という曲が映画のなかのシーンと見事にシンクロしている…

ナイト・シャマラン『エアベンダー』

3週連続でのイタリア映画のセミナーがようやく終わった。 さすがに疲れたので息抜きに、ファンタジー映画が見たいという中学の娘と『エアベンダー』を見る。アメリカのTVアニメ『アバター 伝説の少年アン』の映画化で、ナイト・シャマランの作品。 シャマラ…

J.ウィリアムズ『佐渡テンペスト』

映画『SADO テンペスト』予告編 なるほど、佐渡テンペストは希望に向かう映画だったのだ。 リーマンショック以降の経済停滞で、もはや映画を撮ることができなくなったのではないかと鬱々としていたウィリアムズは、佐渡の自然に心を打たれ、その場所で映画を…

サム・ライミ『オズ、はじまりの戦い』

映画『オズ はじまりの戦い』予告編 土曜日、中学生の娘と映画を観に行く。 日本映画で山田洋次の『東京物語』とか、沖田修一の『横道世之介』などが候補にあがっていたのだが(前者のオリジナルは小津の『東京物語』で大好きな蒼井優が出ているし、後者は沖…

イタリア映画への誘い(2)

フェルザン・オズペテクの『向かいの窓』は、具体的にはどんなふうに「すばらしいイタリア映画」なのだろうか。どうして多くのイタリア人をうならせたのだろうか。そのあたりを考えてみよう。 まずは映画の冒頭、こんなシーンから。 暗い通りに人影が現れる…

イタリア映画への誘い(1)

千葉での講座「イタリア映画への誘い」が無事終了。 朝までバタバタとスライドの準備をして、京葉道路をぶっ飛ばして、到着するや90分ぶっとおしで喋りまくる。映画のシーンをちらりと見せるところで、水を口に含んでしばし喉休め。その間も頭の中はぐるぐ…

千葉、渋谷、そして横浜(イベントのご案内)

来週から3週連続3カ所でイタリア映画のセミナーをやります。 第1弾は千葉。 来週2月26日(火)、千葉市民文化大学というところで「イタリア映画への誘い」という講座をやります。じつはこれ、7月に予定されているイタリア映画の講座の予告編なのです…

めくるめく鎌倉

木曜日に鎌倉に行ってきた。英文学の山木さんの案内で、フランス哲学の鈴木さんとブラブラ。やっぱり歩かなきゃわからないことがあるものだ。 まずは朝比奈切通しを歩いて熊野神社へ。鎌倉へ通じる七口のひとつだけど、実際に歩いてみるとなるほど山に囲まれ…

R.ジョンソン『ルーパー』

『LOOPER/ルーパー』予告編 気になっている映画だったもので、日曜日に池袋で見てきた。 なるほど、映画評論家の町山さんが言っていた「その手があったか!」というのが分かった。 誰かが「けっこう感動的ですよ」と言うのも分かった。 でも、なんだか既視…

クリアレーゼ『海と大陸』(2)

クリアレーゼはメッセージを持つ映画は撮りたくない言う。しかし同時に、観客が想像力を働かせる余地のある映画を撮りたいとも言う。おそらく彼は、映画によって物語を起動させたいのだと思う。うまく物語がうまく動きだせば、あとはぼくたちが想像力を働か…

クリアレーゼ『海と大陸』(1)

一昨日、『海と大陸』の試写に行ってきた。最初に言ってしまうおう。これは傑作だ。少なくともぼくは、しばらくこの映画について機会があるごとに何度も言及することになると思う。 1965年ローマ生まれのエマヌエーレ・クリアレーゼは、モレッティではないけ…

トム・フーパー『レ・ミゼラブル』

映画『レ・ミゼラブル』予告編 オープンングから引き込まれる。CGの豪快さがこれは映画だと訴え、囚人たちの歌う "Look down" のコーラスがミュージカルだと教えてくれる。そして、あの憎々しいジャヴェール(ラッセル・クロウ)の歌声がまるで自然なセリフ…

決めつけるのは危ない

少し前に朝の番組「とくダネ」の木曜日コメンテーターをしている陸上の為末選手が、(細かい文脈は忘れてしまったが)中国との国境を巡る問題について、こんな言葉を口にしていた。 「決めつけるのは危ないですよね、グラデーションでゆかないと」。 なんだ…

子どもを打つのは3歳まで

体罰のことを考えていて思い出したことがある。「子どもを打つのは3歳まで」。ぼくに子どもができたとき、大学時代の剣道の恩師から教えられた言葉だ。 躾のため子どもを打つのは3歳まではかまわない。3歳をすぎたら慎むべき。なんだかとても合点のいった…

「教えること」と「学ぶこと」

最近話題になっている体罰の問題は、「教える」ことを仕事にする者にとっては、ちょっと考えさせられる。必要なのは、少し下がったところから考え直すことなのだろう。そこで、ちょっとイタリア語から考えてみようと思う。 何はともあれ、最近愛用のイタリア…

ロドリゲス『フロム・ダスク・ティル・ドーン』

クールが信条のジョージ・クルーニーがクールでいられない。 なにしろクールなヤツの足を引っ張ることを信条とするタランティーノが、いかにもまじめそうな顔で狂気への扉を開こうとするのだから。 悩めるタフガイのハーヴィ・カイテルは、そんなクルーニー…

加藤典洋『死に神に突き飛ばされる』

読了。感動。よい本というのは、これってぼくが言いたかったことだよね、感じていたことだよねと思わせるものだけど、この本はずばりそれ。しかも、じぶんの思っていたことの向こう側まで突き抜けてくれた感じがする。 『村上春樹の短編を読む』や『テクスト…

スマートフォン?

今朝の「とくダネ」でスマートフォンの弊害を取り上げていた。いわゆる生活情報のコーナでのたわいもない話なのだが、おもわず見てしまった。 弊害の1つが「ストレートネック」。スマートフォンを長時間使用することで、背骨の首を支える部分から湾曲がなく…

園子温『希望の国』

新宿で娘と鑑賞。親子割引でふたりで2千円だって、なんだかうれしいぞ。 見終わったとき娘が言う。「グロイ場面を予想していたら、 いつの間にか終わってしまった」。たしかに園子温にしては穏やかな作品だ。まだ廃墟に死者たちが感じられたからだろうか、…

雲の中で散歩しましょう

アップルの iWeb でぼちぼち書いていたのだけど サイトが使えなくなったので、なにもせずに放っておいたら いつの間にか成長した娘が、さっさとこのブログを立ち上げてくれました。 ブログやれよって勧めたのはぼくなんだけど、 いつの間にか、ブログやりな…