雲の中の散歩のように

Cinema letteratura musica どこまで遠くにゆけるのだろう

読書

中味のない人間

まずは東京新聞のこんな記事から。 自民党の高市早苗政調会長は十八日、原発の再稼働について「東京電力福島第一原発事故で死者が出ている状況ではない」として、原発再稼働を主張した自らの発言について「誤解されたなら、しゃべり方が下手だったのかもしれ…

5本の指みたいな共同体

なあ、おれたちはある意味、パーフェクトな組み合わせだったんだ、5本の指みたいに。(170頁) かつて多崎つくるには居場所があった。5本の指みたいな「パーフェクトな組み合わせ」と呼ばれるものがそれだ。 始まりは公立高校一年生の夏だったという。つくる…

チェチェンから来た兄弟

兄はタメルラン・ツァルナエフ26歳、弟はジョハル・ツァルナエフ容疑者19歳。 4月15日、このふたり兄弟が仕掛けた爆弾がボストンマラソンのゴール付近で爆発。19日、兄は銃撃戦のすえ死亡、弟もアメリカの威信をかけた大捕り物のすえ拘束された。ニ…

村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

村上春樹の新作、昨日の夜11時ごろから読み始めた。 この人の本は読み始めるとやめられないが、今回はとくにそうだ。村上好みの謎解き・ミステリーの話型を採用しながら、そのシンプルな物語がぼくをとらえてはなさない。文字を追う目が真っ赤になって悲鳴…

決めつけるのは危ない

少し前に朝の番組「とくダネ」の木曜日コメンテーターをしている陸上の為末選手が、(細かい文脈は忘れてしまったが)中国との国境を巡る問題について、こんな言葉を口にしていた。 「決めつけるのは危ないですよね、グラデーションでゆかないと」。 なんだ…

加藤典洋『死に神に突き飛ばされる』

読了。感動。よい本というのは、これってぼくが言いたかったことだよね、感じていたことだよねと思わせるものだけど、この本はずばりそれ。しかも、じぶんの思っていたことの向こう側まで突き抜けてくれた感じがする。 『村上春樹の短編を読む』や『テクスト…