
Ok。24-179。イタリア語音声で字幕なし(ロシア語らしきものがあったけど字幕なしと同じ)。ジェノヴェーゼ祭りのなかで出会った。これが一番好きかもしれない。ここには時間のトリックはなし。ジェノヴェーゼは基本喜劇の人だと思うのだけど、だんだんと深刻になってきて、正面切って人間の悲喜交々を描き出そうとする。けれど、それあくまでも喜劇的な人間類型を正面から見据えようとするもの。ただ、そのままじゃ重くなるから時間のトリックを使てくるのだけれど、この作品はそれなりに深刻だけれど、それほどに深刻になる前の作品。
設定がおもしろい。ジークムント・フロイト先生リスペクトの主人公フランチェスコ(マルコ・ジャッリーニ)と三人の年頃の娘のドタバタ恋話。アメリカで学ぶサーラ(アンナ・フォッリェッタ)はレズビアン。魅力的な女性に出会うとくしゃみがるという妙なクセがあるのが伏線。大好きな女性とのデートの最後に指輪を差し出して結婚を申し込むのだけどフラれてしまう。急ぎすぎ。恋に敗れて帰国。ホモセクシャルはもういいからヘテロになると言い出す。お父さんのフランチェスコはびっくり、ようやくお前がレズビアンだということに慣れてきたのに、こんどはヘテロかと嘆く。
本屋を経営しているマルタ(ヴィットリア・プッチーニ)は恋が下手。けれども店に気になる男が来ている。声をかけようとするとなんと、店のリブレットを盗んでいるではないか。けれども、なぜかそれを咎めることができず見逃してしまう。それどころか、彼の跡を追うとじつはオペラ劇場で働く男ファビオ(ヴィンチョ・マルキオーニ)で、聾唖者であること知る。ところがマルタの気持ちはますます高まってゆく。
一番年下のエンマ(ラウラ・アドリアーニ)は父のフランチェスコに恋をしていると打ち明ける。建築をやっているというので、勉強しているのかと聞けば、いや建築家だよという。何歳かと聞けば、父と同じくらいの年齢アレッサンドロ(アレッサンドロ・ガズマン)には、妻がいるというから大変。
エンマが自宅に連れてきたところで、父フランチェスコはそこを問いただすと、98%わかれるという。ならば残りの2%でよりを戻させてやろうとばかり、セレピーを提案。さもないと娘と付き合いは認めないという強引さ。ところが、このアレサンドロの妻クラウディア(クラウディア・ジェリーニ)こそは、フランチェスコが密かに憧れていた女性だからたまらない。
ある意味でジェノヴェーゼお得意の集団劇だけど、構成がみごとで飽きさせない。とってつけたような設定も苦にならない。喜劇というのはそういうもの。それから自殺という重い話題も出てくるけれど、クラウディアの橋の上からの自殺のようなものがバンジージャンプだったり、ガス自殺は通報されて命の恩人の消防士と見つめ合ってクシャミするのは、マルタではなくて女性消防士だったりするのがお笑わせてくれる。
ラストもよい。フランチェスコが、行方不明になったクラウディアの髪の色から目の色までを事細かに覚えているのに対して、夫のフランチェスコはほとんど覚えていないという警察でのやりとり。それを見ていたエンマが父の愛する人が誰だったかを知ってほだされる。
ラストはローマの夜の美しい街灯のしたをあるく父と娘。みごとなハッピーエンド。拍手。
追記:
なんでイタリアではテレビシリーズにもなっているらしい。わかる。だって面白いもの。イタリア的というよりは、どこかアメリカンなソープオペラ。でもイタリア人も大好きだからね。
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