ではその最新の『Hand of God -神の手が触れた日』とはどんな映画なのか。それまでの映画作品を、彼のデビュー作に遡りながら、少しずつ解きほぐしてゆくつもりです。いったいどんな話になるのか、ぼくもまだよくわかりません。でも、準備をしながら、ワクワクしてきました。一筋縄にはゆかないけれど、この人は知れば知るほどおもしろい。
とくに広告が入ってくるでもない。そこもよい。広告がいやなのではない。おかげで無料でサービスを使わせてもらえる。それはわかる。ただ、その入り方が少し違う。広告のようのなものはあるのだろうけど、それが目立たない。目立たないのは怖いかもしれないし、そうでもないかもしれない。目立つ方が安心できるのかもしれない。その点、 Hatena Blog はっきりしている。
独裁者をイタリア語でいうと「dittatore」なのだけれど、もともとは古代共和制ローマの独裁官(dictator)からきてるコトバ。ウィキペディアによれば「ローマにおける行政の長は、毎年2人任命される執政官」で、「外敵の侵入や疫病の流行、政治的混乱など、国家の非常事態が発生した場合〔中略〕、ただ1人に強大な権限を与えて事態に対処させること」として、非常事態が元老院で認定されると、執政官により「指名された dictus 」。
だから「独裁官 dictator 」という名称は、「選出される eletto 」ではなく「指名される nominato (dictus) 」という手続きから来ているらしい。こうして民主主義的な手続きによって全権を一手に掌握した「独裁官」は、緊急事態に対処できるように指図を下す。とうぜん、指図を待ち構えている共和国のローマ市民たちは、その指図に従うことになる。この「指図」が「comandare」なのだろう。
ここでようやくロダーリの『 Chi comanda? 』という「お話」(filastrocca)が登場する。ところで、このフレーズを直訳すれば「誰が指図するのか?」「誰が命令するのか?」となりそうだけど、「 comandare 」が自動詞で用いられるときは、その場所を「支配する」「統治する」という意味になることを確認しておこう。だから、お話の冒頭に出て来る「Chi comanda in casa?」というフレーズは、「家で支配する/統治するのは誰か」という意味なんだけど、それでは少し場違いに響く。
「偉いのは誰?」とやればもう訳文はできたようなもの。ところが、ここで先生のお手本を期待していますなんてことを書かれてしまったから、さあ大変。元教師としては「偉いのは誰」と訳すのを禁じ手にされてしまったところがある。こいつはこまったと悩みながらも、連休の午後にふと思いついてこの "Chi comanda "という童謡を訳してみることにした。
Ho domandato a una bambina: — Chi comanda in casa? Sta zitta e mi guarda. — Su, chi comanda da voi: il babbo o la mamma? La bambina mi guarda e non risponde. — Dunque, me lo dici? Dimmi chi è il padrone. Di nuovo mi guarda, perplessa. — Non sai cosa vuol dire comandare? Sì che lo sa. — Non sai cosa vuol dire padrone? Sì che lo sa. — E allora? Mi guarda e tace. Mi debbo arrabbiare? O forse è muta, la poverina. Ora poi scappa addirittura, di corsa, fino in cima al prato. E di lassù si volta a mostrarmi la lingua e mi grida, ridendo: — Non comanda nessuno, perché ci vogliamo bene.