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雲の中の散歩のように

Cinema letteratura musica どこまで遠くにゆけるのだろう

99 posse『撃て』 (1996)

音楽 イタリア語


Spara 99 Posse - YouTube

 

機会があって99ポッセの「Spara」を聴き直した…

 

なんというアクチュアリティ!

 

もちろん音楽も悪くないのだけれど、やはり圧倒的なのはその歌詞。

いかに世界が今、W杯の話題で麻痺しているかが痛感させられる。

 

クリミア情勢は予断をゆるさず、シリアの混乱は拡大し、パレスチナにはミサイルが打ち込まれている。ひるがえって自分の回りを見てみても、国会を囲むデモは話題にならず、新宿の反戦を訴える焼身自殺は黙殺され、福島の苦しみとイチエフの厳しい現状も視聴率を下げるものとして敬遠され続けている。ぼくらの生活にしても、少しずつ値上げされてゆくガソリン、電気代、消費税によって、真綿で首を絞めるように脅かされているのではないだろうか。

 

それなのに、あいかわらずのんきに「どこの馬の骨かもわからない人々のことなんて気にしていられるものか」なんて思っているぼくたちに、99ポッセの歌詞は「撃て! Spara!  」と訴えるのだ。

 

『撃て』

 

朝日が昇り 新たな一日が始まる
残されたままの古い問題を厄介払いしたいおまえ
ラッシュに捕まった車が動かなくなったとき
姿を見せた移民におまえは
クソみたいなそいつの人生がどんなだったかふと思い浮かべ
ただよってくる体臭に鼻をふさぎたくなると
なによりもその野郎を厄介払いしたくなって
おまえの金がそいつの祖父のものでもあったことなんて気にならなくなる
おまえはレイシストじゃないが神でさえない
あいつらのせいじゃなくても、あいつらのきたない神のせい
だから、撃つんだ、くそったれ、さあ、そいつを撃ってしまえ
どうせあいつら、明日には死んでいるんだ
さあ、撃ってしまえ、皆殺しにしてしまえ
さあ、おれたちは美しい、あいつらは醜い
あいつらの醜くさときたらありゃしない
ついでにおいらも撃ってくれ、おいらもあいつらのひとり、そしておまえは
撃て!おいらはアラブ人
撃て!生まれてきたのが間違いだった
撃て!おいらは移民、そしておまえは
撃て!おいらは貧乏人
そしておまえは…

 

朝日が昇り 新たな一日が始まる
残されたままの古い問題を厄介払いしたいおまえ
国家に対してすべてを私的なものにしておきたいおまえ
病人がひとり死んでも
保証のない労働者がひとり死んでも
餓死者が何百万を数えても
カモッラが働き手をあまり殺さなくても
おまえときたら馬鹿みたいに未だアルド・モーロに涙している
これからどのくらいの人が死ぬのか子どもにもわかるのに
へたれたヤツが身内でなかれば、そんな話は聞きたくもないおまえ
それじゃ撃て、馬鹿野郎、さあ撃ち殺してしまえ
どうせ明日には死んでいるヤツらだ、さあ
撃ち殺しちまえ、皆殺しにしちまえ、さあ
おれたちは美しい、あいつらは醜い、さあ
あいつらの醜さときたらありゃしない
おいらも撃ってくれよな おいらもあいつらのひとり だからおまえは
撃て!おいらはアラビア人
撃て!生まれて来たのが間違いだった
撃て!おいらは移民でおまえは
撃て!おいらは貧乏人

 

アラビア語

わたしは外国人、ここにいるのは取り戻すため
ほんのわずかながらも おまえたちの祖先が
わたしの大地から奪ったものを
これがおまえの大地の現実
わたしの大地も同じこと
国境のない正義の世界を打ち立てるため

 

朝日が昇り 新たな一日が始まる
残されたままの古い問題を 厄介払いしたいおまえ
おまえを押していた風向きが変わり行く手を阻むと
おまえは清算を求められる
何か分けの分らない理由で
おまえの確固とした長所のすべてが消え失せてしまう
一生ずっと 見返りを求めず全てを捧げ
世界は労働で征服するものだと思い込んでいたおまえ
自分は王だと信じていたのに ただのチェスの駒にすぎないと知り
クイーンを救うために犠牲にされるとき
そのときは撃て 思い切って、さあ自分を撃つんだ
どうせまもなく死んでしまうんだから さあ
自分を撃つんだ 完璧なやつなんていないから さあ
以前のおまえは美しかったが、いまや醜くなりさがった さあ
なんて醜いんだ 醜いったらありゃしない
もうおいらとかわらない ようこそコーラスへ、そしておまえは
撃て!おいらはアラビア人
撃て!生まれて来たのが間違いだった
撃て!おいれは移民でおまえは
撃て!おいらは貧乏人
そしておまえは撃て、撃て
撃て、おいらは移民
撃て!おいらは貧乏人
そしておまえは…

 

この歌に歌われているのは、まじめに仕事をしているイタリア人。そんな男がある日、朝の通勤渋滞で動かなくなった車のなかで、フロントガラスの掃除にやって来る移民を見かける。それはイタリアではよくあること。その悲惨な姿を見た彼は、その体臭の臭さに辟易としながら、この移民さえ片付ければ厄介ごとのすべてが解決するように思ってしまうという内容だ。

 

しかし、そのみすぼらしく体臭をプンプンさせる移民がイタリアにやってきたのは、自分たちの故郷で生活ができなくなったからではないか。しかも、彼らの故郷の地は、まさにイタリアやヨーロッパが、かつては植民地として分断し、今もまた市場としてそこから利益を上げている大地なのだ。

 

だからこそ、そんな彼らを厄介払いすること(つまり「撃つ」こと)は、じつは自分自身を厄介払いすることであり、自分自身に銃を向けることにほかならなない。「おまえ」と「おいら」は、じつは同じ人間にほかならないこと。その恐ろしい分裂こそは、この歌詞が「撃て」と叫ぶ、その標的なのではないだろうか。

 

99ポッセの歌詞の原文はこれ。

Quando il sole del mattino spunta e nasce un nuovo giorno
pieno di vecchi problemi e vuoi levarteli di torno
Quando il traffico ti inchioda in un ingorgo bloccato
quando vedi un immigrato
Quando pensi a come vive, alle sue storie di merda
quando ne senti la puzza e non vorresti sentirla
Quando prima di ogni cosa vuoi levartelo di torno
e poco importa se i tuoi soldi sono un pò anche di suo nonno
Quando tu non sei razzista ma non sei nemmeno dio
quando non è colpa loro, ma anche loro porco dio
Allora spara bastardo, dai sparagli addosso
tanto domani sono morti lo stesso dai
sparagli addosso, ammazzali tutti dai
noi siamo i belli, loro sò brutti dai
loro sò brutti, ma brutti davvero
e poi spara anche a me: sono uno di loro, e tu
Spara! Sono un arabo
Spara! Ho sbagliato a nascere
Spara! Sono un immigrato e tu
Spara! Sono povero
E tu

 

Quando il sole del mattino spunta e nasce un nuovo giorno
pieno di vecchi problemi e vuoi levarteli di torno
Quando contro lo Stato vuoi che tutto sia privato
quando muore un ammalato
Quando muore un operaio perché è senza protezioni
quando i morti di fame se ne contano a milioni
Quando la camorra ammazza meno gente del lavoro
mentre tu povero stronzo piangi ancora Aldo Moro
Quando anche un bambino sa quanta gente morirà
quanno o’ cazzo nun è o’ tuojo e nun ne vuo’ sentì parla’
Allora spara bastardo, dai sparagli addosso
tanto domani sono morti lo stesso dai
sparagli addosso, ammazzali tutti dai
noi siamo i belli, loro sò brutti
loro sò brutti, ma brutti davvero
e poi spara anche a me: sono uno di loro, e tu
Spara! Sono un arabo
Spara! Ho sbagliato a nascere
Spara! Sono un immigrato e tu
Spara! Sono povero

 

(TRADUZIONE DALL'ARABO)

Io sono uno straniero, sono qui per riprendermi
Solo una piccola parte di ciò che i vostri antenati
Hanno preso dalla mia terra.
Questa è la realtà, nella tua terra,
Nella mia terra, è uguale,
Per costruire un mondo giusto senza frontiere.

 

Quando il sole del mattino spunta e nasce un nuovo giorno
pieno di vecchi problemi e vuoi levarteli di torno
Quando il vento che ti spinge cambia verso e soffia contro
quando ti chiedono il conto
Quando per una ragione che non ti è dato capire
tutti i tuoi bei punti fermi vanno a farsi benedire
Quando tutta una vita hai dato tutto e chiesto zero
illudendoti che il mondo si conquista col lavoro
Quando ti credevi re, quando ti scopri pedina
quando sei sacrificato per salvare la regina
Allora spara coraggio dai sparati addosso
tanto tra un attimo sei morto lo stesso dai
sparati addosso nessuno è perfetto dai
prima eri bello mo’ ti sei fatto brutto dai
quanto sei brutto, ma brutto davvero
non sei meglio di me, benvenuto nel coro, e tu
Spara! Sono un arabo
Spara! Ho sbagliato a nascere
Spara! Sono un immigrato e tu
Spara! Sono povero
E tu spara, spara,
spara sono un immigrato
Spara! Sono povero
E tu

この「Spara 」という曲は1996年の『Cerco tempio』に収録されたもの。

Cerco Tiempo

Cerco Tiempo

 

 

ぼくがナポリのバンド 99 Posse を知ったのはもう10年も前のこと。そのライブアルバム『 Incredibile Opposizione Tour (con i Bisca) 』(1994)は実に強烈で、レゲエとロックとパンクとラップが融合したような音楽世界の独自性だけではなくて、強烈な刺を持つ政治的な歌詞もまた印象的だった。 

Incredibile Opposi

Incredibile Opposi

 

 

その一度は解散したのだけど数年前に再結成し、この新しいアルバムはかつての名曲のセリフカバーとのこと。iTunes でも買えるみたいでうれしいぞ。

Curre Curre Guaglio'-Non Un Pa

Curre Curre Guaglio'-Non Un Pa

 

 

Curre curre guagliò remix (feat. Samuel)

Curre curre guagliò remix (feat. Samuel)

  • 99 Posse
  • Hip Hop/Rap
  • ¥200