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雲の中の散歩のように

Cinema letteratura musica どこまで遠くにゆけるのだろう

ピーター・ガブリエル『洪水がやって来る』

音楽

新学期がはじまりドタバタと2週間がすぎた。

やはり忙しさにかまけているとよくないな。なんだか少し喉が痛い。鼻水が出る。どうやら軽い風邪をひいたみたいだ。

そんなとき目についたのが、FBに投稿されていた懐かしい曲。ピーター・ガブリエルロバート・フリップの『Here comes the flood 』だ。この写真をみると、なんだかとても若いふたりだけど、このツーショットにはちょっとジンと来た。


Here Comes The Flood - Peter Gabriel & Robert ...

 

この曲はもともとガブリエルのオリジナルで、そのファーストアルバム(1977)に入っていたもの。けれども、このアルバムを担当したボズ・エズリンは、なんとあのピンク・フロイドやキッスなどのプロデュースで有名な人物で、ピアノとギターだけのシンプルな曲を構想していたガブリエルの意図に反するアレンジをしてしまう。

それがこれ。


Peter Gabriel - Here Comes the Flood - YouTube

 

聞いていただければわかるのだけど、1分38秒あたりからピンク・フロイド風の荘重なアレンジが施されている。だからガブリエルは、フィリップのソロアルバム『エクスポージャー』に参加したとき、本来の構想に戻したというわけだ。

さて、その Here comes the flood という曲なのだけど、今回聴き直してみて、その歌詞が実にすばらしいことに気がついた。

その詞のイメージに近い映像がこれ。


Peter Gabriel & Robert Fripp - Here comes the flood ...

 

この映像でかなりイメージが明確になったところで、試みに日本語に訳してみることにしよう。浮かび上がって来るのは、ガブリエル流のディストピアなのだけれど、同時にそこには、ある種の希望のようなものが垣間見える。それは最後の審判のときに再び到来するような「洪水」のなか、あえて陸を離れた者が生き残り(give their island to survive )、「洪水」に飲み込まれながらむしろその試練を「飲み干し drink up 」、まさに自らの命を捨てることで生命の連続性に賭けるような、諦念のなかの希望のようなものが歌われているのではないだろうか。

 

「洪水がやって来る」

 

夜がその姿を見せるとき

ラジオがシグナルをとらえはじめる

すべての奇妙なニュースは

最初の警告として 通り過ぎてゆく

打ち上げられた海星は 隠れる場所もないままに

なおもあの復活祭の大波を待つ

進むべき方向を示すものはなく

どこに立てばよいかさえわからない

 

かつてたどったあの古い道

頼りない路肩が 海を越えてゆく

切り立つ崖のうえに

歳を重ねていったのは 息子たちと娘たち

くたびれた地下世界が台頭してきていた

鋼の波が金切り声をあげて空に襲いかかり

その爪を雲にくいこませたとき したたる雨が

生暖かく群衆を濡らしたのだ

 

主よ 洪水がやって来ます

われらの肉と血に別れを告げるときが来ます

もしもまた海がふたたび

なお生きている者のうちで静まることがあるのなら

それはきっと生き残るために陸を諦めた者でしょう

飲み干すのです 夢想家よ 干あがってしまうまえに

 

洪水が訪れれば

誰もが家を失くし 守りを失う

雷の一撃で

心は一瞬にして砕け散り 千の破片となる

怖れてはいけない 目前の光景に泣くしかない

俳優たちは去り あなたとわたししかいないのだから

もしも夜明け前にくじけるなら 来る者たちが

かつてのわたしたちを使い尽くしてくれるのだろう

 

主よ 洪水がやって来ます

われらの肉と血に別れを告げるときが来ます

もしもまた海がふたたび

なお生きている者のうちで静まることがあるのなら

それはきっと生き残るために陸を諦めた者でしょう

飲み干すのです 夢想家よ 干あがってしまうまえに

 オリジナルの歌詞はこちら。

When the night shows

the signals grow on radios

All the strange things

they come and go, as early warnings

Stranded starfish have no place to hide

still waiting for the swollen Easter tide

There's no point in direction 

we cannot even choose a side.

 

I took the old track

the hollow shoulder, across the waters

On the tall cliffs

they were getting older, sons and daughters

The jaded underworld was riding high

Waves of steel hurled metal at the sky

and as the nail sunk in the cloud, the rain

was warm and soaked the crowd.

 

Lord, here comes the flood

We'll say goodbye to flesh and blood

If again the seas are silent

in any still alive

It'll be those who gave their island to survive

Drink up, dreamers, you're running dry.

 

When the flood calls

You have no home, you have no walls

In the thunder crash

You're a thousand minds, within a flash

Don't be afraid to cry at what you see

The actors gone, there's only you and me

And if we break before the dawn, they'll

use up what we used to be.

 

Lord, here comes the flood

We'll say goodbye to flesh and blood

If again the seas are silent

in any still alive

It'll be those who gave their island to survive

 

Drink up, dreamers, you're running dry.