雲の中の散歩のように

Cinema letteratura musica どこまで遠くにゆけるのだろう

B.ラッセル:未来の世代へのメッセージ

『ジャージーボーイズ』の続きを書く前に、ちょっと寄り道。 ここに、備忘のため訳出しておくののは、イギリスの偉大な哲学者バートランド・ラッセルの言葉。それは、1959年にBBCの番組 Face-to-Face において、1000年先の世代に自分が人生において学…

『ジャージー・ボーイズ』(1):イタリア系コミュニティーのこと

週末、イーストウッドの『ジャージー・ボーイズ』を見た。堅実な演出。キャスティングよし。音楽よし。ちょっと驚いたのは、うちの高校生の娘が、60年代の楽曲や舞台のパフォーマンスを見て、「こういうの好きだわ」とつぶやいていたこと。へえ、以外と6…

13日の金曜日に『8½』を語る(3)

7)「それはわたしだ」 こうして「8.5本目」の作品のために、スタッフと俳優が集められ、映画の断片的で混乱したイメージが形成されてゆく。頭のなかでは明確な作品をつかんだつもりのフェリーニは、そのアイデアを聞いた盟友トゥッリオ・ピネッリや、『甘…

ドイツ旅客機の墜落事故について

フェリーニの『8 1/2』の続きを書きたいところなのだけれど、どうにもあのドイツ旅客機の墜落事故が気になって仕方がない。じつはフェリーニのこの作品について、ぼくはうつ病と自殺ということを書こうとしていたのだ。そこに飛び込んできたのが、副操縦士…

13日の金曜日に『8½』を語る(2)

6)40歳のチャップリン それは1961年のある日のことだったという。次回作の構想を練っていたフェリーニは、シエナ近郊の温泉地キャンチャーノ・テルメにて『8½』となる作品のヒントを得る。そのとき彼の脳裏に浮かんだあらすじを、ケジチは次のように伝え…

13日の金曜日に『8½』を語る(1)

去る3月13日の金曜日、イタリア文化会館でフェリーニの『8½』の上映会があった。ぼくは上映前の15分ぐらいで作品の解説してきた。いくら13日の金曜日だったといえ、よくもまあそんな恐ろしい仕事を引き受けたものだと思う。 ぼくは、特段アカデミックな…

ランペドゥーサ難民収容所からの声

ごく最近、またしても300人もの難民が地中海で命を落とした。以前にも『海と大陸』という映画を紹介するときに、同じような話を書いたことがあるけれど、いったい悲劇はいつまで繰り返されるのだろう。 以下に訳出するのは、セイブ・ザ・チルドレン(イタ…

教育におけるスポーツ、武道、そしてあそび

Facebook の友人の投稿に答えようとしたのだけど、長くなってしまったのでここにアップ。小さな子供のいる母親でもある友人が、朝日新聞のこの学校体操についての記事を引用して、「いったい誰のための教育なのか」と問いかけていたのだ。ぼくは学校体育とか…

僕らの良心の検証のために:"Solo andata" を訳す

2月になっても胃の痛くなるようなニュースが続いている。 11日、シチリア海峡で330人の移民が溺死したという。ヨーロッパに希望を求めた彼らは、なけなしの金を巻き上げられ、たよりないボロ船に押し込まれ、リビアの海岸から冷たい冬の地中海に投げ出…

セルジョ・マッタレッラ大統領就任演説によせて

2015年2月3日、イタリア新しい大統領に選出されたセルジョ・マッタレッラが、モンテチトーリオ宮の代議員議会堂での宣誓式に続き、就任演説を行いました。 ぼくはその演説の映像に触れ、演説原稿に目を通したときから、これは訳してみたいと思っていま…

2015年2月3日、イタリア大統領就任演説(試訳)

2015年2月3日、イタリア新しい大統領に選出されたセルジョ・マッタレッラが、モンテチトーリオ宮の代議員議会堂での宣誓式に続き、就任演説を行いました。感じるところがあったので、以下に訳出してみます。政治体制に関する用語や、憲法や法制に関し…

戦後70年:ふたつの「まぼろし」のあいだで

今朝、後藤健二さん殺害の報が流れた。 昨晩ぼくは奇しくも吉本隆明の「軍国青年の50年」(『背景の記憶』所収)を読んでいた。奇しくも、というのは後藤さんのニュースが、吉本の文章に響き合うように感じたからだ。どんなふうに響き合うのか、それを少し…

ハリウッドさながらのイスラム

気の滅入るニュースが続いているが、少し前にイタリアの友人から興味深い記事を教えてもらっていたことを思い出した。それがこれ。 <a href="http://www.ilpost.it/giacomopapi/2015/01/14/islam-occidentalizzato/" data-mce-href="http://www.ilpost.it…

マッテーオ・ガッローネについての覚書

MusicaVita Italia のためのコラムを脱稿。とりあげたのはマッテオ・ガッローネの『リアリティー』。この作品でガッローネは、『ゴモッラ』に続いてカンヌ映画祭のグランプリを獲得したのだが、なるほど良く出来た映画だと思った。 ところがコラムのほうは、…

チャーリー・ブラウンの嘆き

例によってFBの話題から。 フランスで起こった「週刊シャルリー」社への襲撃事件をめぐるさまざまな投稿のなかで、ぼくがハッとしたのが上の画像です。 ぼくがこのチャーリー・ブラウンの風刺画を示唆的だと思うのは、頭を抱えているチャーリーが嘆いている…

ありがとう、ピーノ。ありがとう、ナポリ。

Il Saluto di Napoli a Pino Daniele - Flash Mob a ... ピーノ・ダニエーレの訃報についてはすでに書いたけれど、その後、FBで彼に捧げられたすばらしいビデオに出会ったので、ここに紹介しておこうと思う。 その秀逸な冒頭のシーン。 ナポリの海岸で iPhon…

Pino Daniele を偲んで: "Napule è" 訳してみた

新しい年が始まってまだ5日目なのに、悲しい訃報が飛び込んできた。ピーノ・ダニエーレが亡くなったというのだ。 日本ではあまり知られていないかもしれない。けれど、彼はイタリアを代表する歌手だ。ナポリ生まれで、ナポリの方言で歌い、ナポリの音楽シー…

Vasco Rossi "Come vorrei" 訳してみた

月曜日から沈んだ気分なのだけど、そういうときに飛び込んでくる投稿には、きまってぼくを元気づけてくれるものがある。イタリアン・ロックの大御所ヴァスコ・ロッシの新曲 Come vorrei もそうだ。 今年の10月に発表されたばかりのアルバム『Sono innocent…

Robert Frost "The Road Not Taken” 訳してみた

米国の詩人 Robert Frost の有名な詩だそうだが、ぼくは今日、例によってFacebookで初めて教えてもらった。読んでいると、なんどかとても、今の自分、そして今の時代と響き合うところがあるではないか。 そう、昨日の選挙のことを考えているのだ。秋が終わっ…

R.Stones, "Sympathy for the devil" 訳してみた

Sympathy For The Devil (Fatboy Slim Remix) 思うところあってストーンズの『Sympathy for the devil 』(1968)を訳してみた。 日本では『悪魔を憐れむ歌』として知られる曲だけど、それを今日たまたま YouTube でみかけて、おもわずミックの歌声に引き込…

ぼくらの《まつりごと》のために

政治には関心がなかった。投票に行くのはどうも気が進まなかった。どうせ何も変わらないとも思っていた。でも、なにより嫌だったのは、市民たるもの投票に行くべきだという、そんな空気ではなかったかと思う。 投票所に行けば、投票用紙を受け取り、候補者の…

John C Jay の言う《Be authentic》とは?

あのユニクロで知られるファーストリテイリングは、自社のグローバルクリエイティブ特活として、世界的なクリエイターのジョン・C・ジェイ(John C Jay)氏を迎えるという記事を読んだ。 ぼくの目を引いたのが、ジェイ氏が若いデザイナーのために提言したと…

iPad を探しながら僕らのエソロジーを考える

今朝、iPad mini がなくなってるのに気づいて、あわてて iCloud の「iPhone を探す」という機能を使ってみたら、見事に見つかった。昨日、大学の喫煙所に置き忘れていたのだ。 喫煙所はもちろん屋外。4限が終わってから、知り合いの先生といつものタバコト…

Totò 『女性』あるいは美しすぎる存在に捧げる詩

Antonio De Curtis, in arte Totò (1898-1967) 昨日11月25日は、「女性に対する暴力撤廃の国際デー」だった。例によってFBにはいくつかの投稿があったのだけど、なかでもぼくの目を引いたのはイタリアを代表する喜劇役者トト(アントニオ・デ・クルティ…

Erri De Luca 『世俗の祈り』

またFBで素晴らしい詩にめぐりあった。地中海の難民たちのことを詠った詩なのだけれど、神ではなく海にむかっての祈りとして書かれたものだ。だからそのタイトルは「世俗の詩」。ランペドゥーサ沖の悲劇のことや、その悲劇を先取りした映画「海と大陸」のこ…

99 posse 『コミュニストのツイスト』訳してみた

FBに投稿されていた 99 Posse の "Comuntwist" という曲のPVを見る。2000年のアルバム Vida Que Vendra からの曲だけど、その歌詞を聞きながら、なんだか今のぼくたちの姿が歌われているようで、思わず日本語に訳してみた。 とりあえず、これがPVね。 99 Pos…

Led Zeppelin "Rock and Roll" のドラムイントロ!

www.youtube.com ツェッペリンの名曲、今度スタジオで挑戦してみようということになった。一聴して簡単なロックンロールに思えるのだけど、これが実に難物。とてもデッドコピーは無理そうなんだけど、せめて雰囲気ぐらい再現してみたいじゃない。そこで、こ…

パオロ・ヴィルツィー『見わたすかぎり人生』(2008)

雑誌 Musicavita Italia のためのコラムの草稿ができた。塩漬けして明日には送付の予定。で、前回の記事で、そこに挙げたおいたヴィスコンティの論文は、このコラムのための準備だと書いていたのだけど、マッテオ・ガッローネの『リアリティー』に絡めて考え…

人間の姿をした映画(ルキノ・ヴィスコンティ)1943

ヴィスコンティは、そのデビュー作『郵便配達は2度ベルを鳴らす』(1942)を発表したのち、映画雑誌チネマに Cinema antropomorfico と題する小論を発表する。まだネオレアリズモという言葉がなかったころ、後にその先駆とされる作品を発表したばかりのヴィ…

スワッグとアッロスティチーノ:あるいはバロテッリの開くイタリア

FBで紹介されたのだけど、なかなか興味深い記事だったので、ちょっと紹介してみたい。記事はこれ: 生贄の黒人が経験していることメディアから袋だたきにされるバロテッリだが、彼の国であるイタリアは「Swag」や「羊の串焼き」という言葉をとうてい理解でき…