読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

雲の中の散歩のように

Cinema letteratura musica どこまで遠くにゆけるのだろう

戦後70年:ふたつの「まぼろし」のあいだで

今朝、後藤健二さん殺害の報が流れた。 昨晩ぼくは奇しくも吉本隆明の「軍国青年の50年」(『背景の記憶』所収)を読んでいた。奇しくも、というのは後藤さんのニュースが、吉本の文章に響き合うように感じたからだ。どんなふうに響き合うのか、それを少し…

Robert Frost "The Road Not Taken” 訳してみた

米国の詩人 Robert Frost の有名な詩だそうだが、ぼくは今日、例によってFacebookで初めて教えてもらった。読んでいると、なんどかとても、今の自分、そして今の時代と響き合うところがあるではないか。 そう、昨日の選挙のことを考えているのだ。秋が終わっ…

ぼくらの《まつりごと》のために

政治には関心がなかった。投票に行くのはどうも気が進まなかった。どうせ何も変わらないとも思っていた。でも、なにより嫌だったのは、市民たるもの投票に行くべきだという、そんな空気ではなかったかと思う。 投票所に行けば、投票用紙を受け取り、候補者の…

John C Jay の言う《Be authentic》とは?

あのユニクロで知られるファーストリテイリングは、自社のグローバルクリエイティブ特活として、世界的なクリエイターのジョン・C・ジェイ(John C Jay)氏を迎えるという記事を読んだ。 ぼくの目を引いたのが、ジェイ氏が若いデザイナーのために提言したと…

原初的逸脱…

Twitterで寺山修司のこんな言葉に目にする。 人間の条件は、つねに本質よりもさきに「生」そのものがあるのであって「はじめにことばありき」ではなく「はじめに声ありき」だったのである。 「はじめにことばありき」とは聖書の言葉だが、そこに寺山は「本質…

蜷川幸雄『わたしを離さないで』

『わたしを離さないで』 PV - YouTube この連休に、蜷川幸雄の舞台『わたしを離さないで』を観てきた。 原作はカズオ・イシグロの同名小説。原作は読んでいた。映画化された作品も観た。それでも舞台は新鮮だった。ひさしぶりの舞台ということもあったのかも…

フクイチ・科学技術・「あわい」への思考

フェイスブックにこんな投稿をしたところ、友人たちいくつかのコメントが寄せられました。返事を書こうと思ったのですが、長くなったのでこのブログに記してみることにします。 // 投稿 by 押場 靖志. ぼくは、フクイチ(福島第一発電所)のことが報道されな…

「日本的なもの」の誘惑

長谷川三千子は、その『日本語の哲学へ』において、ぼくたちの話す日本語によって、日本語のなかで、固有の哲学的思考を展開する可能性を開こうとした。それはひとつの冒険だったと思う。しかしその冒険がかくも危険なものへの接近でもあったことを、その「…

殉教の子どもたちと動物の尊厳

先日、『イスタンブールの赤 Rosso Istanbul』という小説(あるいは随筆?)を発表したフェルザン・オズペテク。トルコ生まれにしてイタリア映画を代表する監督である彼が、とても興味深いフレーズをツイートをしていたので、ここで紹介してみたい。 Ci sare…

中味のない人間

まずは東京新聞のこんな記事から。 自民党の高市早苗政調会長は十八日、原発の再稼働について「東京電力福島第一原発事故で死者が出ている状況ではない」として、原発再稼働を主張した自らの発言について「誤解されたなら、しゃべり方が下手だったのかもしれ…

5本の指みたいな共同体

なあ、おれたちはある意味、パーフェクトな組み合わせだったんだ、5本の指みたいに。(170頁) かつて多崎つくるには居場所があった。5本の指みたいな「パーフェクトな組み合わせ」と呼ばれるものがそれだ。 始まりは公立高校一年生の夏だったという。つくる…

チェチェンから来た兄弟

兄はタメルラン・ツァルナエフ26歳、弟はジョハル・ツァルナエフ容疑者19歳。 4月15日、このふたり兄弟が仕掛けた爆弾がボストンマラソンのゴール付近で爆発。19日、兄は銃撃戦のすえ死亡、弟もアメリカの威信をかけた大捕り物のすえ拘束された。ニ…

村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

村上春樹の新作、昨日の夜11時ごろから読み始めた。 この人の本は読み始めるとやめられないが、今回はとくにそうだ。村上好みの謎解き・ミステリーの話型を採用しながら、そのシンプルな物語がぼくをとらえてはなさない。文字を追う目が真っ赤になって悲鳴…

決めつけるのは危ない

少し前に朝の番組「とくダネ」の木曜日コメンテーターをしている陸上の為末選手が、(細かい文脈は忘れてしまったが)中国との国境を巡る問題について、こんな言葉を口にしていた。 「決めつけるのは危ないですよね、グラデーションでゆかないと」。 なんだ…

加藤典洋『死に神に突き飛ばされる』

読了。感動。よい本というのは、これってぼくが言いたかったことだよね、感じていたことだよねと思わせるものだけど、この本はずばりそれ。しかも、じぶんの思っていたことの向こう側まで突き抜けてくれた感じがする。 『村上春樹の短編を読む』や『テクスト…